昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ
あなたは昭和初期というといつくらいの時代をご想像されるでしょうか?
本特集を組むに当たって、筆者もいろいろと調べてみましたが「昭和」と一口に言ってもその期間は60年以上もありますので、初期の解釈にも諸説あるようです。
そこで本特集では、昭和初期を「戦前期間」に絞って、その頃の流行歌や唱歌を中心に楽曲をセレクトしてみました。
できるだけ「昭和のレトロ感」的なものをお楽しみいただきたいと考え、リンクの音源動画資料も原曲のオリジナル音源を選ぶように心がけています。
レトロなモノラルの音質とともに昭和初期の春の空気をお伝えできれば幸いです。
ぜひお楽しみください。
昭和初期の春の歌。春を感じる歌謡曲や唱歌まとめ
春の哀歌荘司史郎
昭和初期の空気を今に伝える『春の哀歌』は、荘司史郎さんが心を込めて歌った名曲です。
1934年、時代の波に身を任せながらも、失われた愛と春のはかなさを象徴する花に託して訴えかけるこの楽曲は、その後の音楽シーンを彩る礎となりました。
別れの痛み描き出した歌詞に、荘司史郎さんの声が寄り添い、心に染みる歌唱に仕上がっています。
どなたにとってもどこか懐かしく、胸に迫る思いを感じ取れるはず。
乙女の春淡谷のり子
日本におけるシャンソンの先駆者、「ブルースの女王」の愛称でも親しまれた、淡谷のり子さんの楽曲です。
『乙女の春』は1934年、昭和9年に発表された楽曲で、作曲は古関裕而さん、作詞は島田芳文さんが担当しています。
昭和の空気を強く感じる、コロムビアオーケストラによるおだやかなサウンドが印象的で、春のあたたかさを伝えるイメージですね。
歌詞では春にまつわる女性の姿が描かれており、遠くに向かって思いをはせる様子、涙を流す様子などが表現されています。
(河童巻き)
桜咲く国OSK日本歌劇団
戦前の情緒が蘇る楽曲『桜咲く国』は、OSK日本歌劇団により歌われた楽曲です。
1930年の「春のおどり さくら」以来、春公演でのテーマソングとして定着。
それから長らく、時代をこえて愛され続けています。
歌詞には桜の花びらが舞い散る様子が描かれ、聴く者の心に春風のような爽やかさを運んできます。
プロ野球チーム、近鉄バファローズの応援歌としても知られていますね。
アコーデオンの春中野忠晴
中野忠晴さんの『アコーデオンの春』は、昭和初期の歌謡曲の伝統を感じさせる素晴らしい選曲です。
2021年7月28日に発売されたアルバム『音故知新 昭和の名歌手 中野忠晴』にも収録されている本作。
海外のの軽音楽風の旋律が特徴で、その牧歌的な雰囲気は、多くの春の日々を通り抜けてきたような趣深さを持っています。
やわらかな春の日差しの下、新しい季節の訪れを感じながらお楽しみいただきたいですね。
うれしいひなまつり河村順子
春の訪れとともに色とりどりのぼんぼりや桃の花を飾るひな祭り。
そんな風物詩を歌い上げたのが、河村順子さんによる『うれしいひなまつり』です。
1936年に発表されて以来、日本中の家庭で親しまれてきたこの曲は、子供から大人まで誰もが口ずさむ名曲。
この歌を聴けば、にわかに春の気配を感じ、ほっと温かな気持ちになるでしょう。
サトウハチローさんによる歌詞は、家族の絆と優しい時間が交錯するひな祭りの風景を描いており、聴く人の心に沁み入ります。
アルバム『河村順子・童謡の歩みI』や『河村順子・童謡の歩みII』に収録されており、今聴いてもその郷愁を感じさせるメロディーは色褪せることがありません。
春が訪れるたびに耳にしたくなる、そんな1曲ですね。
蘇州夜曲渡辺はま子、霧島昇
『蘇州夜曲』は1940年、映画『志那の夜』の挿入歌として作られ、同年に渡辺はま子さんと霧島昇さんの歌唱でレコード発売された昭和の流行歌です。
映画の中では、戦前の中国で生まれ、激動の時代を生きた女優、李香蘭こと山口淑子さんが歌っています。
この歌は、そもそもが映画スター「李香蘭」が歌うことを前提として作られた歌だそうです。
「東洋の水の都」と言われる蘇州や男女の心情が、昭和の流行歌ならではの美しい歌詞で描かれています。